mi-tenn2005-04-30

私の愛する愛する「んじゃらげ・チュー子」姫です。
右に首を傾けてご覧下さいませ。


こんなにも愛する猫が生きている。
私が寂しくて、寂しくて、寂しくて、悲しくて、悲しくて、どうにか成ってしまいそうで、猫ちゃんが飼いたい、と切実に思ったその時に、夢のように現れた猫ちゃんがチューコなのです。
もしかして、これは夢なのでしょうか?
朝、同じ枕で眠っている彼女はつかの間の夢なのでしょうか?


18年実家で生きた名犬フリー(犬:人間の年齢にして130歳)が亡くなる直前に現れた姫は私に生きる勇気をくれました。

今年の初めの事でした。フリーが亡くなったのです。

父は、自分の父が亡くなっても泣かない人でした。
その父が、フリーが亡くなって、泣いて泣いて涙が永遠であるかのように泣いて、1ヶ月で13キロも悲しみで体から肉をなくしてしまいました。
犬は人間の精神年齢で2〜3歳のまま亡くなるのです。子供のまま死ぬのです。
父は狂ったように泣き続け、家族は父の涙に命が吸い込まれておりました。
父と弟がフリーの最後を見届け、男二人で筆舌耐え難い号泣をしたまま、弟はメールで、静かに泣く母は電話で私に悲しみを知らせました。フリーの死を知らされた私は実家に飛んで帰り、フリーの火葬される前日、亡きフリーを触りながら死を受け入れられませんでした。
何時間もフリーの前に座り込んで、生きているとしか思えない。と、家族を困らせ、納得いくまで座り込んでおりました。

生きているのに火葬なんてヘンだと思っておりました。
火にかける?誰が?フリーを?そいつを殺してやる。


本気でそう思っておりました。
涙なんて一粒もありませんでした。
だって生きているとしか思えないんですもの。




私が死を知ったのは随分後でした。
目を見たのです。
それが全てでした。
知っていたのかもしれませんが、本当に知りませんでした。




晩年フリーは視力を失っていました。
私の家系の女は人生の晩年視力を失う運命が生まれた時からあるそうです。
私も目が見え無くなる時が来るでしょう。
母は目が見えなくなるのは、時間の問題です。と、去年の末、最終宣告を医師から受けました。歴代の事なので、覚悟は出来ています。
それが犬のフリーにも及んだ事に対して、特に驚かなかったのは父の介護にありました。
目の見えないフリーはとても幸せそうだったのです。
フリーは父を心から信頼し、いつもニコニコしていました。
老衰で五感全てに霧がかかっていたというのにです。
不思議な事に、失ってしまった機能も、どの命も生きていました。

愛を受け入れるぶんだけ。不思議な事に。



愛、とは。





その事を、現実を通してみて数年の事でした。





そんな時、実家を離れている私の大阪住居先の玄関でチューコが現れだして、一人ぼっちで恋人の帰宅を待ちながら泣き続ける私を慰めてくれました。
彼女はまだ子猫で、よく泣く私に戸惑いを隠しませんでした。
疲れきって帰宅する恋人は、ドイツワインの白を呑みすぎて顔がむくんでいると言う私の嘘に疑いを持ちませんでした。

事実を知っているのは彼女ばかりだったのです。


ありがとね、チュー子。