mi-tenn2006-08-03

何かに手を翳してみる。
何時もより硬くて冷たい色。
深みを増した指の間から、柔らかな光が輪郭を伴って胸を焦がしにくる。
そっと、強烈に駆け引きを。
そんな瞬間を手に入れたければ手を翳してみればいい。
妨げる手は逆光に触れているのに。
届かない。
何もかも。
何も手に入れていないのと同じだ。
1cm前後の指に邪魔をされて。

いつもは留守番電話に伝言を残さない着信は見た瞬間に消去。
例外がある。
暗号のようなタイミングで知らない番号から着信がある。
留守番電話はカウントされない。
今日だけじゃない。
数年前から。
行き違う思いの中で。

誰だかわからないので好き勝手に相手を想像してみる。
なんとなく、あの人だったらいいなと思う。
たまに電話を掛けなおす。
自分から断ち切れてしまう。
気分はエンドロール。