mi-tenn2006-01-19

膠質水性の顔料(岩絵の具、水干絵の具)や墨を中心とした日本画の中に、彩色和紙やマニキュワのラメ素材、毛質、布、羽などの他素材を組み合わせ、ミックスドメディア傾向のコラージュ作品を展開。作品の形成と、その意味の興隆を考察しながら造形性を追求していく。
私はエレガントで猥雑とした雰囲気の中で、少し品格のかけたアンニュイな存在が好きで絵に投影してきた。あえて少し着崩し、バランスの流れを変える存在に魅力を感じる。
モチーフは自分にとって愛着のあるものばかりで、見たままの姿を描くのではなく、アレンジ、デフォルメし、説明しなければ元来の姿が何なのかわからないようにしてある。全てがリアルに目の前にあるものであり、全てがイメージなのである。
自分の好きなモチーフがカオスのように混じり合い、それを一つの絵にするスタイルを続けている。制作する時には、インパクトのある作品作りを心がけ、観る者を「アッ」と言わせる絵を描きたいと思っている。現代でよく言われる癒しや慰めを意識した絵や、モチーフを端的に少なくし、脱メッセージ=スケール感を狙った形ではなく、明確に自分の描きたいモノをエネルギッシュに大胆にボルテージを上げて描きたいのである。
作品はどれも「華」を取り入れ、華を軸的展開に一端を示すものとして、共通性を図る。作品制作を続けながら、仏教美術、現代メディアの日本的特質などを調べ、これらの問題意識を研究に投影し、日本美術領域範疇の造脂の吟味を加えながら、想起された概念を深めていきたい。
今はメディアにいろいろな情報が流れ、付け焼刃や、見せかけのモノも多く、手軽で安易なイメージに対する慣れが生じているように思う。この事を踏まえ、自分のイマジネーションをより深く諦視し、認識として持っていた残像の中から新たな良さを見つけ出すセンス、今までと同じモノの中から違う楽しみを見つけ出すクリエイティブな発想を養い、何をどのようにすれば作品が輝くかと追求する事の重要性の中に、感動の「芽」に気づく発想の転換が必要なのではないかと鑑みます。
良い作品を作りたいという望みは同じでも、何が良いと感じるかは人それぞれ違い、自分の信じた思いをやり遂げ達成する事がまず大切であり、豊かな生活文化に貢献しようと、希望や夢を持つ事、感銘や感動を共有できる瞬間を目指すのが理想である。
絵の構成に関しては、自分の構想したアイデアに近づけるよう計画的に制作を進め、素材の特徴で面白い要素を発見し、使い方を考え、それを生かして作りこむ。造形的な良さや美しさを感じ取り、新しい企画で独創的な作りに挑戦し、単純化や、強調する所に配慮し、表現創造への考え方や方法を見直しながら進める。
芸術における新しさとは、新しい素材やモチーフを使った作品ではなく、芸術の流れの中に、新しく「マナー」を確立できた時に、やっと「新しい絵」と言われるのであって、絵画のスタイルが多くの人々に驚きと感動、喪失感を巻き起こし、時代に定着するまで試行錯誤を繰り返し描き続けなければ、本当の意味で新しい絵は作り得ない。新しい事に挑戦し、スタイルを非難されたとしても、思いが強ければ諦めてはいけない。スタート地点はいつだって嵐の中だ。20%以上の人が理解し納得できる優しい世界観なんて、時代遅れだっちゃ。