春一番の風が訪れた前夜、
冬の妖精がチューコを連れて行ってしまった。
そう思うように努めるが、
心配と不安で眠れない。
近所の犬がないている。
いつもはなかないのにないている。
ずっとないている。
ずっと、
ずっと。
なぜ帰ってこないのかわからない。
ずっと、
ずっと。
朝が来た。
まだないていた。
なんなんだ。
彼女はまだ帰ってこない。